親知らずを抜いてもひどく腫れたり、痛んだりしない。
これが「滅菌」のパワー

渡部先生も親知らずを抜いたこと、あるんでしょうか。
もちろんあります。20歳くらいのとき普通の歯科医で親知らずを抜いたんですが、ものすごく腫れました。麻酔が切れたら、もうとにかく痛くてしょうがない。翌朝から1週間くらいの間は、外に出かけられないくらい腫れました。
その後、大学病院で親知らずの抜歯を見学する機会がありました。その患者さんの親知らずは私よりも深く埋まっていて、それを口腔外科の先生が切開して抜いたんですね。「あの人も相当腫れて、大変な思いをするんだろうな」と思ったんですが、翌日消毒に来たときに見てみると、それほど腫れていなかった。
なんでだろうと思って、それから親知らずを抜いた患者さんを注意して見るようになりました。すると、私のようにひどく腫れた患者さんというのは、ひとりもいなかったんです。口腔外科の先生に「大学病院では、なぜ親知らずを抜いてもひどく腫れる患者さんがいないんでしょう?」と訊いてみたところ、返ってきた答えは「たぶん洗浄・滅菌の違いじゃないかな」というものでした。
大学病院では、どんな洗浄・滅菌をしていたんでしょう。
私が歯科大にいたのは30年近く前のことですが、当時の洗浄は手洗いと超音波洗浄の併用だったと思います。そのあと巨大なオートクレープ(窯)で加熱滅菌する。口腔外科の先生に「町の歯医者さんではタービンをオートクレープで滅菌してると思う?」とあたらめて訊かれると、それはやってないだろうなと。一般の開業医と大学病院とでは、 やはりかなり違いがあるんだなと思いましたね。
洗浄・滅菌を徹底することには、ほかにはどんな利点がありますか。
手術後の予後(経過)がよい、手術自体の成功率が高くなる。こういったことも滅菌のメリットとして知られています。結果として、よりレベルの高いオペ(手術)ができるようになるわけです。 また、口腔内の細菌感染が起こりにくくなり、親知らずを抜いたあとの痛みも軽くすることができます。鎮痛剤でコントロールできる程度の痛みに抑えるためには、やはり洗浄・滅菌が大事なんですね。
口腔外科に関しては開業当時から力を入れてやってきましたし、洗浄・滅菌のレベルに関しては、つねに「国内最先端」をスタンダードにしてきたという自負もあります。でも、 その原点にあったのは自分自身の経験なんです。「親知らずを抜いたとき、自分と同じような思いはしてほしくない」。20歳のときのあの痛みを思い出すと、どうしてもそう思ってしまうんですよ(笑)。
親知らず抜歯の痛み、腫れも滅菌により軽減。手術の予後がよいなどの効果も