治療ツールの滅菌済み
「基本セット」は500組以上を用意

滅菌について最初に意識したのは、いつ頃のことですか。
近所の消化器外科の先生との会話がきっかけです。オペ(手術)の話をしていたとき、歯科の洗浄~滅菌のレベルは外科と比べて低いんだなとあらためて実感しました。 開業から2年目(*1991年)、今から27年くらい前の話です。
その頃の歯科医では洗浄は手洗いが主流で、そのあとアルコールで拭く程度。「タービンを使う前に空回しをして、内部の水分を切ることが大事」なんてことも言われていましたが、 それだけで本当にいいんだろうかという疑問は、ずっともっていましたね。
自分で赤い染め出し液を用意して、実験したこともありました。染め出し液の中で一瞬だけタービンをまわして、そのあとタオルできれいに拭き取って、もう一度タービンをまわす。 どうなったと思いますか? タービンの内部から赤い染め出し液が、かなりの量出たんです。タービンの「空回し」も大事かもしれないけれど、これでは使い回ししているのと変わらないなと思いました。
'91年のワタナベ歯科医院。 この年、開業医としていち早く滅菌設備を導入
それからすぐに滅菌機器を導入したんですか。
開業医レベルで導入できる滅菌機器がないか調べてみたところ、タイマー付きの圧力釜のようなものがあったので、さっそく導入しました。当初は滅菌にも時間がかかったり、 高温でタービンのローターがすぐダメになったり、さまざまな問題がありました。それでも患者さんごとに滅菌したツールを使うことには、大きな意味があると思っていたんですよ。
それ以来、タービン、コントラ、ファイル、スケーラー、超音波スケーラー、歯の根の治療に使うツール類など、患者さんの口の中で使う治療具はすべて滅菌しています。
最新機器の機器の場合、滅菌にかかる時間は15分程度ですが、高温になるので、ツールが冷めるまで時間がかかります。水をかけて冷却する方法もありますが、 急激な温度変化はタービンの寿命を短くしてしまうので、できれば避けたいんですね。そんな事情もあって患者さんごとに新しいツールを用意するためには、それなりの数を用意しなければなりません。
ワタナベ歯科の場合、ツールはどれくらいの数を用意しているのでしょう。
基本セットと呼ばれる治療用ツールは500組以上用意しています。1日の平均患者数が260人程度なので、最大2日間、洗浄・滅菌作業が滞っても大丈夫という計算になりますね。 実際に作業が滞ったことは一度もありませんが、なにがあっても万全だと思える用意をしておかないと、落ち着かないんですよ(笑)。
治療に使う「基本セット」は500組以上を用意。すべて個別包装されている